2026.4.21

身体は、嘘をつかない

前回までで、「気づいている何か」についてのお話を
ひととおりしてきました。

今回から、もう少し身近な場所へ降りていきます。

身体のこと。心のこと。
そして、その奥で静かに動いているもののこと。

知らないうちに、動いている

今この瞬間も、心臓は動いています。
息は吸って、吐いている。
胃はごはんを消化している。

ぜんぶ、意識していません。

それでも、ちゃんと動いてくれている。

身体の大部分は、
「わたしが動かしている」のではなくて、
「勝手に動いてくれている」のです。

## 心も、同じ

心も、気づかないうちに動いています。

嬉しいことがあれば、ふっと笑顔になる。
怖いものを見れば、勝手に身体がこわばる。
昔の記憶が、ふと浮かんでくる。

「さあ、思い出そう」と決めて
思い出しているわけじゃありません。

心の大部分は、
見えないところで動いています。

潜在意識、という言葉

こういう、気づかないところで動いているものを、
「潜在意識」と呼ぶことがあります。

むずかしく考えなくて大丈夫です。

ただ、「意識していないけれど、動いている何か」
というくらいの意味です。

わたしたちが「わたし」と思っている部分は、
氷山の一角のようなものです。

水の下に、もっと大きな何かがある。

その下の部分が、
身体を動かし、
感情を動かし、
時に、思ってもみなかった反応を生みます。

## 身体が先に知っている

誰かに会った瞬間、
なんとなく肩に力が入った。

理由はわからないけれど、
胸のあたりがざわざわする。

「考える」よりも前に、
身体はもう反応しています。

頭で「大丈夫」と言い聞かせても、
身体はちゃんと何かを感じている。

それは、身体が
意識よりも先に、何かを知っているからです。

病気という、声

病気や不調も、
この「気づかないところ」から届く声の一つです。

頑張りすぎて、熱が出る。
ずっと我慢していて、お腹を壊す。
言えなかった言葉が、肩こりになる。

身体は、嘘をつきません。

意識の上では気づけなかったことを、
身体が代わりに教えてくれる。

そういうことが、あります。

見ている何かは、もっと深い

ここで、大切なことをひとつ。

潜在意識も、
身体の自動的な反応も、
病気のサインも、

それらは、みんな「動いているもの」です。

でも、それらを
静かに感じている何かが、あります。

3回でお話しした「気づいている何か」。

それは、潜在意識よりも、
もっと静かで、もっと深いところにあります。

考えにも、感情にも、潜在意識にも、
飲み込まれない何かです。

急がなくていい

気づかないところで動いているものに、
急に気づこうとしなくていいのです。

「潜在意識を変えよう」
「身体の声を全部聞こう」

そう意気込むと、
また思考の仕事になってしまいます。

そうではなくて、
ただ、知っておくだけ。

「わたしの知らないところで、
 
いろんなものが動いている」

それを知っておくと、
少しだけ、自分にやさしくなれます。

自分を責めないために

病気になった時、
気分が落ちた時、
うまくいかない時。

「わたしのせいだ」
「気の持ちようが悪かった」

そう自分を責めてしまいがちです。

でも、動いているものの多くは、
意識の下にあります。

「わたし」がコントロールできる範囲は、
思っているよりずっと、小さい。

それは、
無力さの話ではありません。

むしろ、
ぜんぶを背負わなくていい、
という話です。

次回予告

次回は、もう少し具体的に、
身体の声の聞き方についてお話しします。

疲れ、痛み、不調。

それらとどう向き合うか ―
というより、どう一緒にいるか、
というお話です。

今この瞬間も、
あなたの知らないところで、
たくさんのものが動いています。

そして、それを静かに感じている何かが、
すでに、ここにあります。