れは昨年の8月27日の夕方近かった。
携帯電話が鳴り、それは岡本さんからの
電話だった。
前立腺がんであり、骨に何か所の転移をしていて、
治療法がない。
自分は座禅をしてきたので、死ぬ覚悟はできている。
ただ、催眠療法を受けて見たい、と言われた。
その電話を受けたのは、宮城県の気仙沼だった。
岡本さんは私の大学時代の同級生の従弟にあたる
方で、大学時代から面識があった。
同級生とは年に一度会ったり、電話で話すことも
あった。
9月12日に体調が思わしくないにも拘わらず、
広島から横浜に来て下さり、催眠療法を受けられた。
どんな内容だか覚えていないが、彼は「これで納得
しました」と言われて帰られた。
気にはなっていたが、そのまま時が過ぎた。
そして、友達から岡本さんの訃報を知らされた。
友だちは「彼は催眠療法を受けて良かった」と
言っていた話された。
そして、今日、水曜日の朝日新聞の夕刊に彼の
写真入りの記事が載っていた。
岡本さんには、被爆した広島と沖縄の悲惨な地上戦との
思いが、「いのちをみつめる」ことにつながったのでは
と思う。
岡本さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
合掌