2023.5.31

「街とその不確かな壁」は催眠的にも面白い。

村上春樹さんの新刊「街その不確かな壁」を
読んだ。

きっかけは、ある人が動画の中で感想を
この本は「意識と無意識」について書かれた
内容だ、と指摘したからだ。

それ以上は感想を見ないで、
兎に角、読んでみようと取り寄せた。

村上春樹さんの本は何冊か読んだ記憶が
あるがその内容は全くと云っていいほど
記憶にない。

手元に届くと、長編小説、1200枚と帯に
あり、確かに厚い本だ。

1200枚とは原稿用紙の枚数なのか。

読み始めて見ると、なんだかピンと来ない。

途中まででドロップアウトかなと思いつつ
読み進めて行った。

村上さんの文章は「文章はわかり易いが、
その内容が難しい」といわれている様だが、
確かに文章そのものは、特別な表現や難しい
言葉では綴られていない。

文章で気づいたのは、とにかく、比喩を多用
している。

2~3行に一度は出て来る。
この様に比喩を使えるといいなあ~と思いつつ
読み進めていくと三分の一くらいまで読むと
面白くなってきた。

一度に読み切るには分量が多いので、
気が向いた時に少しずつ読み進めて行き、
昨日ようやく読み終えた。

内容は私には結構わかり難い。

場面が動くので、まるで催眠療法でいえば、
混乱法で誘導されているみたいだ。

改めて感想動画をすべて見た。

タイトルの「壁」は、催眠という見かたをすれば、
意識と無意識を分けている、クリティカルファクター
(判断の膜)であることはわかる。

壁を境にして、意識と無意識が実体と幻、本体と影、
現実と非現実、有限時間と無限時間など、どちらが
現実でどちらが非現実かがわからなくなる。

内容が具体的にわかり難い。

ノンフィクションが好きな自分にとって、
この手の文章は苦手だ。

村上さんは
「意識と無意識の間の壁を抜け、より深い所で
自分を発見することが小説の大事な作業、だから、
僕にとっては壁は重要」と述べている。

この様に具体的ではない、抽象度の高い作品は
読者の無意識に訴えるので、感性を持って読む
必要がありそうだ。

こんなに長編なのに、もう終わってしまうのか、
と思える小説だった。

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