痛みは、人間にとって最もつらいものの一つです。
誰一人として「痛みが好きだ」と言う人はいません。
例外的に注射の時の痛みが快感という人もいました(笑い)。
身体の痛みはもちろん、
心に響く痛みもまた、
私たちを大きく消耗させます。
通常、痛みは身体の異常から生じるものと考えられています。
しかし実際には、心の状態が痛みの強さに大きく関わっています。
不安や恐怖、孤独感が強まると、
脳の中で「痛みのサイクル(痛みのネットワーク)」が活性化し、
痛みをさらに強く感じてしまうのです。
ここで役立つのが催眠療法です。
催眠は、潜在意識を通じて心と体を深くつなぎ、
痛みの感じ方そのものを変える力があります。
たとえば「手袋麻酔」と呼ばれる方法では、
催眠状態で「手が冷たく、感覚がなくなる」と暗示を与えることで、
その感覚を体が実際に受け取り、痛みを和らげることが可能になります。
催眠は痛みの“閾値”を上げる、つまり「ここからが痛い」
と感じるラインを変えることができます。
その結果、同じ刺激でも痛みを軽く受け止められるようになるのです。
催眠療法の目的は、痛みの程度により異なります。
痛みとの付き合い方を変えることにあります。
潜在意識の力を借りることで、
痛みに支配されていた日常が少しずつ楽になり、
「まだ自分にはできることがある」
という安心感を取り戻せるのです。