2025.9.13

「ガンと催眠療法」【第4回:痛みの緩和と催眠】

痛みは、人間にとって最もつらいものの一つです。

 

誰一人として「痛みが好きだ」と言う人はいません。

例外的に注射の時の痛みが快感という人もいました(笑い)。

 

身体の痛みはもちろん、

心に響く痛みもまた、

私たちを大きく消耗させます。

 

通常、痛みは身体の異常から生じるものと考えられています。

 

しかし実際には、心の状態が痛みの強さに大きく関わっています。

 

不安や恐怖、孤独感が強まると、

脳の中で「痛みのサイクル(痛みのネットワーク)」が活性化し、

痛みをさらに強く感じてしまうのです。

 

 

ここで役立つのが催眠療法です。

 

催眠は、潜在意識を通じて心と体を深くつなぎ、

痛みの感じ方そのものを変える力があります。

 

たとえば「手袋麻酔」と呼ばれる方法では、

催眠状態で「手が冷たく、感覚がなくなる」と暗示を与えることで、

その感覚を体が実際に受け取り、痛みを和らげることが可能になります。

 

催眠は痛みの“閾値”を上げる、つまり「ここからが痛い」

と感じるラインを変えることができます。

 

その結果、同じ刺激でも痛みを軽く受け止められるようになるのです。

 

催眠療法の目的は、痛みの程度により異なります。

 

痛みとの付き合い方を変えることにあります。

 

潜在意識の力を借りることで、

痛みに支配されていた日常が少しずつ楽になり、

「まだ自分にはできることがある」

という安心感を取り戻せるのです。