2025.7.21

催眠療法には二つの道がある。

催眠療法には、ふたつの道がある

催眠療法には、大きく分けてふたつのアプローチがあります。

ひとつは、心の中にある“痛み”や“傷”にそっと光を当てて、

丁寧に癒していく道。

まるで、長い間しまい込んでいた古い手紙を取り出して、

読み直し、涙とともに手放すような方法です。

もうひとつは、すでに心の中にある“光”や“強さ”に目を向ける道。

曇り空の中でも、わずかに差し込む陽の光を探して、

それを育てていくような方法です。

たとえば年齢退行療法では、

つらかった子ども時代の記憶に戻って、

そのときの悲しみや孤独をもう一度感じ直し、

やさしく癒すことがあります。

これは、凍りついた感情を溶かし、

もう一度“流れ”を取り戻すようなセッションです。

一方で、あえてつらい記憶には触れず、

楽しかった思い出や安心できた瞬間に焦点をあてて、

ポジティブな感情を存分に味わうやり方もあります。

それは、心の奥に咲いていた“忘れられた花”を見つけて、

その香りを深く吸い込むような体験です。

どちらの方法も、それぞれに大切な力があります。

どちらが正しいということではなく、

今、その人に必要な“道”を見極めて選ぶことが大切なのです。

だからこそ、セラピストには両方の引き出しが必要です。

時に“影”に寄り添い、

時に“光”を育てながら、

クライアントの心の旅をともに歩んでいくのです。