催眠療法(ヒプノセラピー)(180分)
催眠療法の歴史は古く、約三千年前から治癒や宗教的儀式のために用いられた記録があります。近代の催眠療法は、19世紀にオーストリアの医師フランツ・アントン・メスメルにより始められたといわれています。
その後、イギリスの医師ジェームス・ブレイドが1843年に生理学的視点から「神経睡眠学」という書物を著し、現在、用いられている催眠(ヒプノティズム)という言葉を生み出しています。
1955年には英国の医師会、1958年には米国の医師会で正式に認知され医療現場でも数多くの臨床報告がなされています。
1988年米国の精神科医ブライアン・L・ワイス博士が「前世療法」を出版し、催眠療法が一般の人々にも注目され始めました。
催眠療法とは、顕在意識の下に存在し、意識の90%以上を占めている潜在意識と顕在意識がつながった状態で行なう心理療法のことです。催眠状態になって潜在意識とつながると、その中に暗示やイメージを送り込みやすくなります(暗示療法、イメージ療法)。また、その中にある記憶を確認したりしやすくなります(前世療法、年齢退行療法、胎児期退行療法、未来世療法)。その状態を利用して、今世の幼い頃(年齢退行療法)、前世の人生(前世療法)、胎児期(胎児期退行療法)などに退行してその時の出来事を体験したり、未来へ順行してその人生を経験(未来世療法)することにより、これまで気づかなかった事が浮かんだり、思い出したりすることがあります。そして、そこでの体験から得られた学びや気づきが、現在の問題の解決や目的の達成につながったりする可能性があるのです。
催眠状態とは「我を忘れた状態」ともいえます。日常、大なり小なり誰でもが催眠状態を経験しているのです。「火事場のバカ力」も普段では信じられないような力を発揮します。また、素晴らしく綺麗な景色を見て感動している時も一瞬我を忘れます。そして、凄く驚くような出来事を経験したり、見たりする時にも我を忘れます。これらは自己催眠の状態と考えられます。つまり他者によって催眠に誘導されたのではなく、自分で催眠に入っているのです。しかし、その時でも意識はチャントあるのです。催眠状態は決して意識を失った状態ではなく、いつも自分自身をコントロールしています。ですから、話した事などはきちんと憶えています。また、自分でしたくないこと、いいたくないことは指示を受けてもしません。
催眠療法は基本的には誰にでも受けていただけます。ただし、催眠を受けたくないと思っている人は催眠状態には入りません。催眠状態に入るには催眠を受けようとする人(被験者)に催眠を受けたいという強い意思があることが大事です。
催眠療法で、体験し学べることのいくつかを挙げますと
- 悩みや心配ごとの軽減や解消
- 「なんのために自分はこの世に存在しているか」などの根源的なテーマの追求
- 自分の過去世での生と死の体験
- 肥満、喫煙など自分にとっての悪習慣の除去
- 既に亡くなった人との再会
- 自分のマスター(自分を守ってくれる存在)との対話
- 自分が病気に罹っている意味を知り、そして健康への道を見つけること
- 現在悩んでいる人間関係について、その人との過去世でのかかわりとその解決方法を知ること
などです。
受診にあたってのご注意
催眠療法を受けられる方には、以下の三点が必要になります。
1. 催眠療法を受けたいという強い意思があること
2. イメージ力があること
3. 集中力があること
現在、病気で薬を飲んでいる人は、薬の影響でイメージ力が低下していたり、集中できないこともあります。この様な場合には催眠療法はうまくいきません。従いまして、医師が行う催眠療法でも、その適応などにつきましては個別に対応し、催眠療法の適応があるか否かについては事前に確認させていただきます。
副作用
報告されておりません。
最後に
現在、医師で一般の方々や患者さんに催眠療法を行う人は限られています。病気の人を診るのが医師の役目ですが、病気の根本原因である精神的な因子を明らかにする催眠療法は必ず多くの患者さんのお役に立てると確信しております。